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地球 アーカイブ

「環境」は時代のキーワードに

ここ数年のあいだ、地球環境問題に対する関心が、世界的にめざましい勢いで高まっています。

国連総会、主要国首脳会議(サミット)、非同盟諸国会議、米ソ首脳会談といった国際政治の舞台でも、地球環境問題が議題として大きく取りあげられるようになりました。

政治談議だけではないですね。

わたくしたちの生活の場でも、ふつうの市民にとっても、企業にとっても、地球環境問題は、生活や企業活動に密着したきわめて大きな関心事です。

大都市を中心にした窒素酸化物による大気汚染。

森林を枯らす酸性雨や酸性霧。

中小河川や内湾の水質汚濁。

ゴルフ場周辺の農薬汚染。

リゾート開発と自然破壊の相剋、あるいは生活ゴミや産業廃棄物の増加とその処理場不足・・・

などなど、環境汚染問題は1日として新聞やテレビをにぎわせない日はないほどです。

しかも、この5~6年は、こうした生活関連の、いわば地域的な環境問題にくわえて、地球規模の問題も大きくクローズアップされ、ひとびとの関心を集めるようになってきました。

いえ、むしろ地球規模の環境問題は地球をまるごと破壊してしまいかねないだけに、コトは重大かつ深刻ですね。

なにが環境危機をまねいたか

地球規模の問題とは、熱帯林の減少、地球の温暖化、オゾン層の破壊、砂漠化の進行といったもの。

いまや、「地球環境」ということばは、時代のキーワードになったといえます。

地球環境問題がこのように顕在化した背景としては、人間の活動があらゆる分野で拡大したということがあげられます。

長い人類の歴史のなかでも、とりわけこの100年間、つまり20世紀の経済社会の発展膨脹ぶりは、まことにめざましいものがありました。

地球上の人口は、20世紀初めにおよそ16億人だったのですが、現在は約50億人。

3倍以上にふえたのです。

エネルギーの消費は、この100年間で60倍に増大。

世界の総生産は、20世紀初頭にくらべて21倍になっています。

ちなみにいうと、20世紀初めの世界の総生産は、現在のフランス1国分にすぎなかったそうです。

このような人間の活動のあくことをしらない拡大の結果が、ここにきて、地球環境の汚染あるいは破壊としていっきに噴きだしてきたのです。

地球環境問題の背景

地球環境問題の背景を分類すると、2つに分けることができます。

1)先進国の経済水準の向上に起因するもの

2)発展途上国のかかえる問題に起因するもの

この2つです。

2度にわたる石油ショックの後遺症から脱した1983年以降、世界の景気は、実質で年率3%をこえる拡大をつづけています。

この景気のスピードは、あたかも3~4年で日本級の経済規模の国がひとつずつ追加されているのに相当します。

先進国を中心にした世界の経済活動の水準が、このように長期にわたって高まってきたことが、資源やエネルギーの大量消費という結果をうんだのです。

生産や流通、あるいはサービス活動が活発化すれば、それに比例して燃料などのエネルギー消費が増大するのは当然のことですよね。

世界全体の商業エネルギーの消費量は、戦後の1950年から85年までの35年間だけでも、3.7倍にふえているのです。

もともと先進国は、エネルギー供給源として石油などの化石燃料に大きく依存しています。

しかも、第二次石油ショックのあと、石油市況が軟化したことも、化石燃料の消費の増加に拍車をかけました。

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温暖化の原因は

化石燃料の消費がふえれば、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などの大気中への排出量も増加することになります。

これが地球の温暖化や酸性雨の原因となるのです。

経済活動が活発化するにつれて、化学物質の使用量やその種類も急増しました。

その結果、有害化学物質による環境汚染問題も派生してきました。

フロンのように、それ自体は人体に有害とはいえない物質が、おもわぬところで地球環境に重大な影響をおよぼすというような事例もうまれてきたのです。

発展途上国でも先進国とおなじように、経済は急テンポで拡大しています。

しかし、交易条件が改善されないために、債務はどんどん累積。

しかも、人口の増加と都市への集中がはげしいため、国内総生産(GDP)はいっこうに改善されず、あいかわらず貧困が根づいています。

貧富の差もはげしいです。

このため、社会資本の整備はおおきく立ちおくれ、ゴミや水質汚濁の問題は激化の一途をたどっているのです。

危機に瀕する地球環境

今世紀末までの世界の人口増加のうち、90%は発展途上国で生じるとされています。

しかも、その増加は都市部に集中するものとみられるのです。

また、環境保全を無視した工業化もすすめられています。

これらのことが、途上国における環境汚染や環境破壊をますます深刻なものにすると心配されるのです。


わたしたちは、よく「空気はタダだ」といいます。

あるいはまた、必要欠くべからざるものなのに、ふだんはその存在が意識されないものを「空気みたいだ」などと表現しますよね。

これは言いえて妙です。

わたしたちが俗に空気といっているものは、典型的な自由財であり、地球の代表的な環境資源です。

それを利用するのに、ふつう、だれもコストを支払いはしません。

もしも、呼吸するのにいちいちカネを払わねばならないとしたら、一大事ですよね。

また、大気は国境を越えて自由に流れていきますから、どの国も、何びともこれを占有することはできません。

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大気のありがたみ

大気がわたしたちに対して果たしている役割は、はかりしれず大きいものです。

たとえば、赤道付近で暖まった空気は、風となって緯度の高い地域に熱を運びます。

こうした大気の働きがなかったら、赤道付近の緯度の低い地域は、いまよりはるかに暑く、高緯度の地域は現在よりもっともっと寒いはずです。

大気中には酸素が多く含まれていて、あらゆる生物がそれによって生命を保っていられます。

人類が万物の霊長として地球上に君臨していられるのは火を使えるからだといわれますが、大気中に酸素がなかったら、火は燃えません。

さらに、この酸素は成層圏のオゾンの元となるのです。

オゾンによって、太陽からの有害な紫外線のほぼ全量が遮断されているのです。

そして、大気中にふくまれる水分(水蒸気)のおかげで、大陸の奥地でも雨が降り、土が潤され、草木が育つことができるのです。

早創期の地球の大気に大量に含まれていた二酸化炭素(co2)は、いまでも微量に残っていますが、二酸化炭素は、熱赤外線を透過させにくい性質をもっているので、熱が地表から宇宙に逃げていくのをさえぎる働きをしています。

「温室効果ガス」といわれるのはこのためですね。

逆に、二酸化炭素や水蒸気がまったくなかったら、地球の気温は、いまよりおよそ30度も低くなってしまうといわれます。

地球の防寒具

大気はあたかも、地球の防寒具でもあり、防熱服のようなものでもあります。

このように重要な役割を果たしている大気が、いま、地球規模で汚染され、危機に瀕しているのです。

汚染された大気は、薄まりながら国境をこえて流れ、ついには、地球全体の大気の組成が変わって、世界の各地にさまざまな不都合をもたらすことになります。

その不都合のうち、大気汚染の代表的なものは酸性雨とオゾン層破壊です。

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酸性雨とは

酸性雨は、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質をとりこんで発生すると考えられている、PH(水素イオン濃度)5・6以下の雨をいいます。

したがって、酸性雨は硫酸や硝酸をふくんだ強い酸性の雨なのです。

工場や自動車などが燃料に使う石油や石炭には、その種類によって量は異なりますが、微量の硫酸や窒素がふくまれています。

これを燃焼させると酸化して、SOxやNOxとなり、排ガスとして大気中に放出されます。

このSOxやNOxは、気流にのって、数100~数1000キロメートルも流れていき、その間に酸化して水にとけやすい物質となり、雨とともにふってくるのです。

だから、酸性雨は、大気汚染物質の発生源から遠く離れたとんでもない地域に被害をおよぼすことになるのです。

国境をこえた大気汚染として、とくに工場などがたくさん立地するヨーロッパや北アメリカなどで深刻な問題になっています。

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酸性雨とは その2

酸性雨は最近では、中国でも「空中鬼」などの名前で問題視されるようになっています。

とくに南西部で酸性の強い酸性雨が発生しているのです。

中国における酸性雨の原因は、硫黄分の強い石炭を大量に使うためだろうといわれています。

酸性雨がつづくと、石づくりの建物が溶けてしまったり、雨が直接葉にあたり、あるいは土壌が酸性化して有害な金属がとけだし、根をいためることなどによって、森林が枯れ死んでしまったりします。

また、酸性雨が流れこむことによって、井戸水や湖沼、'川などが酸性化し、そこにすむ魚類が減少したり死に絶えてしまうような被害がおきるのです。

たとえば、統一前の西ドイツでは、面積比にして森林の50%強がなんらかの被害をうけ、その地域の2%では森林がほとんど枯死状態だと報告されています。

また、スウェーデンでは、中規模以上の湖沼8万5000のうち、1万8000で酸性化がすすみ、そのうちさらに4000の湖沼では魚が死滅するなどの深刻な影響が出ているといいます。

経済活動の拡大と軌を一にして、1960年代から世界の硫黄酸化物の排出量が急増し、ちょうどそのころから、酸性雨の被害が顕著にみられるようになったのです。

いっぽう、日本では、酸性雨は観測されるものの、被害はまだあまり顕在化していません。

これは、欧米とは土壌の質や樹木の植生が異なり、また公害対策がすすんでいるためだと考えられていますが、このまま酸性雨が降りつづけば、いつなんどき、とつぜん被害が表面化しないともかぎらないのです。

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